GM | さて、ある日のこと…チャイが「釣りに行こう」と言い出した。何でも、近くの川にでっかい「そうぎょ」がいるとの事らしいんだ。 |
ロビーナ | そうぎょ? |
GM | みんなは知識ロールするまでもなく知ってるんじゃないかな。まあいいや、いちおう振ってみて。 |
ルチル | (ダイスを振る)14。 |
ロビーナ | レンジャー技能の方で判定するよ…12。 |
GM | なら知ってる。川に住むでっかいお魚の一種で、なかなかおいしい。 |
ロビーナ | どういう字を書くの? |
GM | 草の魚。それが釣れるという話を聞いて…「わーい、チャイ大ものねらいするー!」というわけなのだ。ちなみに草魚は、大きい物になると怪魚といえるくらいまでに成長する場合もある。 |
ロビーナ | ピラルクみたいなもんだな。 |
ギュゲス | ここで一つ言わせてもらうと、チャイには無理。釣りをするには堪え性がなさすぎる。 |
ルチル | いやそれより…チャイの場合、魚に引っぱられてそのまま川に落ちそうな気がするのはあたしだけ? |
ロビーナ | で、どこの川まで行くつもり? |
チャイ | すぐそこ。 |
ロビーナ | あの例の川か(※「毒殺された土左衛門」参照) |
GM | 下流の方の、少し川幅が広くなっている辺りがポイントだ。 |
ルチル | 他の釣り人もたくさんいるんだろうね。 |
チャイ | こんばんのおゆうはんは、チャイがつってくるー! |
ロビーナ | 長靴が釣れたらどうするつもりだろう… |
ルチル | もちろん責任を持って夕食にするんだ(笑) |
フィー | ちょっと待ってよ! |
チャイ | こんばんのごはんはチャイにおまかせというわけだな。ふっふっふ、わくわく。そういうわけで、チャイ行ってくるね。 |
ギュゲス | (呆れて)行ってらっしゃい。 |
フィー | 危険だ… |
ロビーナ | それじゃフィーも一緒に行ったら? |
チャイ | あ。もしもでっかい草魚がつれたら、チャイ一人ではこべるかどうかわかんないことにいま気がついた。 |
ギュゲス | 大丈夫。ぽんぽん(とルチルの肩を叩く真似) |
ルチル | あたしも行くんですか?じゃあルチルもついてくよ。他には誰が行くの? |
ロビーナ | こっちは、他に行く所があるからいいや。 |
ギュゲス | 俺も行かなきゃならん所がある。 |
フィー | チャイを野放しにしとくのは危ないし…いいわ、私も一緒に行きましょう。 |
チャイ | ふっふっふ、あっちこっちの人にアドバイスをききながらレンジャーぎのうを駆使してつくった特製のつりざおとみちいとだ。じゃーん。 |
こうしてチャイ、フィー、ルチルの三人は川へと出掛けた。 |
チャイ | チャイは川べりに来てつりいとを垂れる。 |
ルチル | あたしは釣らないで、本でも読んでます。 |
GM | さて、どれくらい釣れたのかな(ダイスを振る)…小物が数匹ほど釣れた。 |
ルチル | いちおう魚がいる事はこれでわかった。うん。 |
GM | 「チャイ、大ものつるの!」と、チャイは釣れた魚を生き餌に使って大物狙いを始めた。 |
ルチル | ザリガニ釣りのようだ。 |
GM | さて、しばらくすると…何やらかかったらしい。チャイがずるずると引きずられていく。 |
フィー | ああー! |
ルチル | チャイが川に落ちるー! |
チャイ | ひー、だれかたすけてえ。 |
ルチル | 後ろからチャイを引っぱろう。 |
フィー | さらに後ろからルチルを引っぱる。 |
ルチル | こうして大きなカブは抜けました(笑) |
GM | 三人で引っぱっると、ばっしゃーんと大きな音がして… |
ギュゲス | あ、土左衛門が釣れたー(笑) |
ロビーナ | 違うだろ。 |
GM | こういう巨大な物体が釣れました(図を見せる) |
ルチル | …これって、ペンギン?ペンギンが釣れたのぉ!? |
ギュゲス | ちょっと待てー!! |
ルチル | さて、ここで問題です。こいつは何でしょう?セージでロールするからね(ダイスを振る)10。 |
GM | (ダイスを振る)チャイも10だからわかった。これがかの有名なストラムーアペンギンという奴ですね。ただ、普通はこの付近には生息してない。 |
ルチル | で、そのペンギンは陸に上げちゃったの? |
GM | うん。勢いで陸に放り出されて、目を回してるよ。 |
フィー | 唖然として見てる。 |
ルチル | 針を抜いてあげた方がいいと思うんだけど… |
GM | 大丈夫、魚に食いついてただけだから。 |
ルチル | 長良川の鵜みたい。 |
GM | ロールに成功したから、ストラムーアペンギンのデータもわかるよ。大きさは1.2メートル程。チャイよりでかい。 |
ギュゲス | なにっ、そんなでかいのか。 |
GM | おもにガルガライス沖の島に生息しておりまして。胸の模様が蝶ネクタイのように見えるのが特徴という、かわいいペンギンなのであります。 |
ルチル | なかなかお洒落なペンギンだなあ。さて、釣れたのはいいんだけど…チャイ、これを食うのか? |
ロビーナ | 今日の夕食はペンギンだな。 |
ギュゲス | 丸焼きだ。 |
フィー | どうするの、こんなの持って帰れないわよ。 |
GM | 「わーいペンギンだー、ふっふっふ」…チャイがさばこうとしてダガーをしゃきーんと抜くと、ペンギンが目を覚ますんだな。 |
ギュゲス | チャイは突き飛ばされてつぶされるような気がするんだが。 |
GM | 何せチャイより大きいペンギンだからねえ。迫力が違う。 |
ルチル | で、そのペンギンがすっくと立ち上がるの? |
GM | うん。これがまた、年代の重みを感じさせるような、なかなか重厚で立派なペンギンだ。 |
ロビーナ | ペンギンの羽の力というのはけっこう馬鹿にならないもので、ひっぱたかれると骨折することもあるらしいよ。 |
GM | チャイは思わず後じさる。ペンギンはてくてく歩いて、川の方へ逃げようとしています。 |
ルチル | 面白いから捕まえてみたいんだけど。あたしはペンギンに飛びついて、がしっと押さえる。捕まえたらギルドに売り払えるかも知れない!(笑) |
GM | 抵抗するね、そりゃ。まず命中判定をしよう。 |
ルチル | (ダイスを振る)8。 |
GM | (ダイスを振る)あ、逃げた。 |
ルチル | すかっ。 |
ロビーナ | なかなか身の軽いペンギンだなあ。 |
GM | そのままばっちゃーんと水に飛び込みました。 |
ルチル | 行ってしまった。金づるが泳ぎ去っていく〜。 |
GM | さようなら〜! |
ルチル | で…チャイ、あのペンギンは何だったんだろう。 |
ギュゲス | 錯覚だ(笑) |
GM | チャイはペンギンの迫力に押されて、ルチルの後ろに隠れている。…と、ここまでが今から数日前に起こったでき事でありました。 |
ルチル | 間抜けだ。 |
ロビーナ | あ、ところでロビーナはボンドの所へお墓参りに行ったからね。 |
ギュゲス | 俺もだ。 |
ロビーナ | 例によって、エールをお供えしておきます。 |
|
GM | さて、何日かたちました。あのペンギン騒ぎについては、笑い話の種になったとかならなかったとか… |
ルチル | そうだね、あの時は他の釣り人もけっこう周りにいたもんね。 |
ロビーナ | で、結局そのペンギンには逃げられちゃったのか。 |
チャイ | うん。なぞのペンギンでありました。 |
GM | さて…ある日の早朝6時頃。もう起きてる人、誰かいるかな? |
ルチル | いや、あたしはお家で寝てます。 |
チャイ | チャイはもう起きてる。 |
ギュゲス | すかぴー。 |
ロビーナ | うーん、ロビーナはどうなんだろうな。 |
ルチル | プリーストは朝のお祈りがあるから、早起きしてるんじゃない? |
ロビーナ | じゃあロビーナも起きてることにしよう。 |
GM | その二人が起きて宿の一階に降りて行くと、一人のおじいちゃんが何やら宿の亭主と話し込んでいる。老人の朝は早いのです。 |
ロビーナ | どんな爺さん? |
ルチル | 見るからに怪しそう?(笑) |
GM | 爺さんと言っても、そんな老けてるわけじゃないね。黒髪に白髪が混じったくらいの、足腰もしっかりした爺さんです。 |
ルチル | 5、60ってとこかな。 |
ロビーナ | で、どんな事をしゃべってるのかな? |
GM | ペンギンがどうのこうのという話を… |
ロビーナ | ん、ペンギン? |
GM | うん。で、宿のおっちゃんはチャイを見ると「おお、確かチャイちゃんがペンギンを釣ったんだっけな?」とか話しかけてきます。 |
ロビーナ | それがどうしたって? |
GM | 「あのペンギン達にもそれなりの事情があってこんな所までやって来たんだ、うん」 |
ロビーナ | はあ?(笑) |
GM | 「まあ詳しい話はこの人に聞いてくれ」と、その何やら偉そうな爺さんと交替する。 |
ロビーナ | (一瞬沈黙)…ペンギン、ですか? |
GM | お爺ちゃんいわく「うむ、ペンギンだ」 |
ロビーナ | ペンギンですか。 |
GM | 「うむ」 |
ロビーナ | そうですか…それじゃあさようなら(笑) |
ルチル | 違うでしょ。 |
ロビーナ | というのは冗談。ペンギンがどうかしたんですか? |
GM | 「いなくなってしまったのだ」 |
ロビーナ | ペットなんですか?それともファミリアー?(笑) |
GM | 「違うんだ、これは話せば長い事ながら…。私はガルガライス沖の、とある小島へ行ったことがあってな。親戚の娘がそこへ嫁いで行ったんで、それ以来なかなか深いつきあいをしているのだ。しかも、私も西部諸国の動植物について調べている者なのでな」 |
ロビーナ | 学者さんなんですね。 |
GM | 「うむ。そういう訳でこれまでしばしばその島を訪れていたんだ。ところがだな…実は何と、ある時そこの住民がペンギンの姿に変わってしまったらしい。おまけにそのペンギンたちがほぼみんな消失してしまったのだ」 |
一同 | ? |
GM | 「何でもしばらく前、泉に入った人間が次々にペンギンの姿に変わってしまうという物騒な事件が島で起こったそうなのだ」 |
ルチル | チャイ、入ってみたいだろ(笑) |
チャイ | わーい、おもしろそーう。 |
ロビーナ | でもそれなら、島の住民みんながペンギンになった訳じゃないんでしょう? |
ルチル | ペンギンになっちゃった人だけが失踪したのね。 |
GM | 「中にはもとの知能が残っているペンギンもいて、そいつは平気だったんだが」 |
ロビーナ | 知能が残らなかった連中もいて、そいつらが… |
GM | 「消えてしまったのだ」 |
ルチル | さてはきっと、野性に帰ってしまったんだ。 |
|
GM | 「さらにだな、その失踪事件と前後して…泉に入った者がペンギンになってしまう事件が起こるしばらく前に、何でもタイデル方面からお客が来たらしいんだ。ペンギンの研究のためと称していたという」 |
ロビーナ | ペンギンの研究者がタイデルからその島へ行った?そりゃ、あんたの事じゃないのか(笑) |
GM | 「いや、私ではないぞ。そのよそ者連中が例の泉の辺りをうろついていたというから、どうも怪しいという事で私が調べてみる事になったのだ。で、このタイデルの近くでそいつららしい奴を突き止めたんだが…どうやら護衛を頼んでいるらしくて、ごっつい連中が傍にくっついているんでな。そこでこっちも護衛を雇ってしまおうと思ったのだ」 |
ロビーナ | 早い話、それでこうしてやって来たわけだな。 |
GM | 「そういう事だ」 |
ギュゲス | 話が見えんなー。 |
ルチル | 見えないから面白いんじゃないか(笑) |
GM | 「で、島からやって来たペンギンが一匹、私のうちにいるのだ」 |
ギュゲス | 確認しとくが…そのペンギンは何をしにやって来たんだ? |
GM | 「手紙を持って来たんだ」 |
ルチル | 伝書ペンギン! |
ロビーナ | どんなお手紙? |
GM | 「その手紙に、君たちに説明したような事件のあらましが書いてあったという訳だ」 |
ギュゲス | 誰から? |
GM | 「その島…ファーライト島という名前なんだが…そこの、ペンギンにならずに済んだ住民から宛てられたのだ」 |
ロビーナ | ところでギュゲスは起きてきたの? |
ギュゲス | 起きてきた。で、その島の人間がどの程度残っているのかわかるかい? |
GM | 「だいたい三分の二くらいは残っているらしい」 |
ギュゲス | つまり三分の一がペンギンになってしまった訳だ。 |
GM | 「まあ、小さな島だったしな」 |
ロビーナ | もともとどのくらいの数の人間がいたのかな? |
GM | 「50人程だな。そういうわけで、ボディガードしてくれる人を募集中なのだ」 |
ロビーナ | なるほどね。 |
ギュゲス | 値段による。 |
ルチル | しかし、ここまで聞いて引き下がるのもなんだし… |
ロビーナ | この前チャイが釣ったペンギンも、それに関係ある可能性が強いわけだ。 |
GM | 「釣った!?」 |
ロビーナ | うん。 |
…と 言う訳でこの続きは本誌でどうぞ。 |