CatsPanicシリーズ 


 vol. 7 ペンギンをめぐる冒険

 TRA.が発行しているSWORD WORLDリプレイ本、「CatsPanicシリーズ」vol. 7 ペンギンをめぐる冒険の冒頭部分です。

GMさて、ある日のこと…チャイが「釣りに行こう」と言い出した。何でも、近くの川にでっかい「そうぎょ」がいるとの事らしいんだ。
ロビーナそうぎょ?
GMみんなは知識ロールするまでもなく知ってるんじゃないかな。まあいいや、いちおう振ってみて。
ルチル(ダイスを振る)14。
ロビーナレンジャー技能の方で判定するよ…12。
GMなら知ってる。川に住むでっかいお魚の一種で、なかなかおいしい。
ロビーナどういう字を書くの?
GM草の魚。それが釣れるという話を聞いて…「わーい、チャイ大ものねらいするー!」というわけなのだ。ちなみに草魚は、大きい物になると怪魚といえるくらいまでに成長する場合もある。
ロビーナピラルクみたいなもんだな。
ギュゲスここで一つ言わせてもらうと、チャイには無理。釣りをするには堪え性がなさすぎる。
ルチルいやそれより…チャイの場合、魚に引っぱられてそのまま川に落ちそうな気がするのはあたしだけ?
ロビーナで、どこの川まで行くつもり?
チャイすぐそこ。
ロビーナあの例の川か(※「毒殺された土左衛門」参照)
GM下流の方の、少し川幅が広くなっている辺りがポイントだ。
ルチル他の釣り人もたくさんいるんだろうね。
チャイこんばんのおゆうはんは、チャイがつってくるー!
ロビーナ長靴が釣れたらどうするつもりだろう…
ルチルもちろん責任を持って夕食にするんだ(笑)
フィーちょっと待ってよ!
チャイこんばんのごはんはチャイにおまかせというわけだな。ふっふっふ、わくわく。そういうわけで、チャイ行ってくるね。
ギュゲス(呆れて)行ってらっしゃい。
フィー危険だ…
ロビーナそれじゃフィーも一緒に行ったら?
チャイあ。もしもでっかい草魚がつれたら、チャイ一人ではこべるかどうかわかんないことにいま気がついた。
ギュゲス大丈夫。ぽんぽん(とルチルの肩を叩く真似)
ルチルあたしも行くんですか?じゃあルチルもついてくよ。他には誰が行くの?
ロビーナこっちは、他に行く所があるからいいや。
ギュゲス俺も行かなきゃならん所がある。
フィーチャイを野放しにしとくのは危ないし…いいわ、私も一緒に行きましょう。
チャイふっふっふ、あっちこっちの人にアドバイスをききながらレンジャーぎのうを駆使してつくった特製のつりざおとみちいとだ。じゃーん。

 こうしてチャイ、フィー、ルチルの三人は川へと出掛けた。
チャイチャイは川べりに来てつりいとを垂れる。
ルチルあたしは釣らないで、本でも読んでます。
GMさて、どれくらい釣れたのかな(ダイスを振る)…小物が数匹ほど釣れた。
ルチルいちおう魚がいる事はこれでわかった。うん。
GM「チャイ、大ものつるの!」と、チャイは釣れた魚を生き餌に使って大物狙いを始めた。
ルチルザリガニ釣りのようだ。
GMさて、しばらくすると…何やらかかったらしい。チャイがずるずると引きずられていく。
フィーああー!
ルチルチャイが川に落ちるー!
チャイひー、だれかたすけてえ。
ルチル後ろからチャイを引っぱろう。
フィーさらに後ろからルチルを引っぱる。
ルチルこうして大きなカブは抜けました(笑)
GM三人で引っぱっると、ばっしゃーんと大きな音がして…
ギュゲスあ、土左衛門が釣れたー(笑)
ロビーナ違うだろ。
GMこういう巨大な物体が釣れました(図を見せる)
ルチル…これって、ペンギン?ペンギンが釣れたのぉ!?
ギュゲスちょっと待てー!!
ルチルさて、ここで問題です。こいつは何でしょう?セージでロールするからね(ダイスを振る)10。
GM(ダイスを振る)チャイも10だからわかった。これがかの有名なストラムーアペンギンという奴ですね。ただ、普通はこの付近には生息してない。
ルチルで、そのペンギンは陸に上げちゃったの?
GMうん。勢いで陸に放り出されて、目を回してるよ。
フィー唖然として見てる。
ルチル針を抜いてあげた方がいいと思うんだけど…
GM大丈夫、魚に食いついてただけだから。
ルチル長良川の鵜みたい。
GMロールに成功したから、ストラムーアペンギンのデータもわかるよ。大きさは1.2メートル程。チャイよりでかい。
ギュゲスなにっ、そんなでかいのか。
GMおもにガルガライス沖の島に生息しておりまして。胸の模様が蝶ネクタイのように見えるのが特徴という、かわいいペンギンなのであります。
ルチルなかなかお洒落なペンギンだなあ。さて、釣れたのはいいんだけど…チャイ、これを食うのか?
ロビーナ今日の夕食はペンギンだな。
ギュゲス丸焼きだ。
フィーどうするの、こんなの持って帰れないわよ。
GM「わーいペンギンだー、ふっふっふ」…チャイがさばこうとしてダガーをしゃきーんと抜くと、ペンギンが目を覚ますんだな。
ギュゲスチャイは突き飛ばされてつぶされるような気がするんだが。
GM何せチャイより大きいペンギンだからねえ。迫力が違う。
ルチルで、そのペンギンがすっくと立ち上がるの?
GMうん。これがまた、年代の重みを感じさせるような、なかなか重厚で立派なペンギンだ。
ロビーナペンギンの羽の力というのはけっこう馬鹿にならないもので、ひっぱたかれると骨折することもあるらしいよ。
GMチャイは思わず後じさる。ペンギンはてくてく歩いて、川の方へ逃げようとしています。
ルチル面白いから捕まえてみたいんだけど。あたしはペンギンに飛びついて、がしっと押さえる。捕まえたらギルドに売り払えるかも知れない!(笑)
GM抵抗するね、そりゃ。まず命中判定をしよう。
ルチル(ダイスを振る)8。
GM(ダイスを振る)あ、逃げた。
ルチルすかっ。
ロビーナなかなか身の軽いペンギンだなあ。
GMそのままばっちゃーんと水に飛び込みました。
ルチル行ってしまった。金づるが泳ぎ去っていく〜。
GMさようなら〜!
ルチルで…チャイ、あのペンギンは何だったんだろう。
ギュゲス錯覚だ(笑)
GMチャイはペンギンの迫力に押されて、ルチルの後ろに隠れている。…と、ここまでが今から数日前に起こったでき事でありました。
ルチル間抜けだ。
ロビーナあ、ところでロビーナはボンドの所へお墓参りに行ったからね。
ギュゲス俺もだ。
ロビーナ例によって、エールをお供えしておきます。



GMさて、何日かたちました。あのペンギン騒ぎについては、笑い話の種になったとかならなかったとか…
ルチルそうだね、あの時は他の釣り人もけっこう周りにいたもんね。
ロビーナで、結局そのペンギンには逃げられちゃったのか。
チャイうん。なぞのペンギンでありました。
GMさて…ある日の早朝6時頃。もう起きてる人、誰かいるかな?
ルチルいや、あたしはお家で寝てます。
チャイチャイはもう起きてる。
ギュゲスすかぴー。
ロビーナうーん、ロビーナはどうなんだろうな。
ルチルプリーストは朝のお祈りがあるから、早起きしてるんじゃない?
ロビーナじゃあロビーナも起きてることにしよう。
GMその二人が起きて宿の一階に降りて行くと、一人のおじいちゃんが何やら宿の亭主と話し込んでいる。老人の朝は早いのです。
ロビーナどんな爺さん?
ルチル見るからに怪しそう?(笑)
GM爺さんと言っても、そんな老けてるわけじゃないね。黒髪に白髪が混じったくらいの、足腰もしっかりした爺さんです。
ルチル5、60ってとこかな。
ロビーナで、どんな事をしゃべってるのかな?
GMペンギンがどうのこうのという話を…
ロビーナん、ペンギン?
GMうん。で、宿のおっちゃんはチャイを見ると「おお、確かチャイちゃんがペンギンを釣ったんだっけな?」とか話しかけてきます。
ロビーナそれがどうしたって?
GM「あのペンギン達にもそれなりの事情があってこんな所までやって来たんだ、うん」
ロビーナはあ?(笑)
GM「まあ詳しい話はこの人に聞いてくれ」と、その何やら偉そうな爺さんと交替する。
ロビーナ(一瞬沈黙)…ペンギン、ですか?
GMお爺ちゃんいわく「うむ、ペンギンだ」
ロビーナペンギンですか。
GM「うむ」
ロビーナそうですか…それじゃあさようなら(笑)
ルチル違うでしょ。
ロビーナというのは冗談。ペンギンがどうかしたんですか?
GM「いなくなってしまったのだ」
ロビーナペットなんですか?それともファミリアー?(笑)
GM「違うんだ、これは話せば長い事ながら…。私はガルガライス沖の、とある小島へ行ったことがあってな。親戚の娘がそこへ嫁いで行ったんで、それ以来なかなか深いつきあいをしているのだ。しかも、私も西部諸国の動植物について調べている者なのでな」
ロビーナ学者さんなんですね。
GM「うむ。そういう訳でこれまでしばしばその島を訪れていたんだ。ところがだな…実は何と、ある時そこの住民がペンギンの姿に変わってしまったらしい。おまけにそのペンギンたちがほぼみんな消失してしまったのだ」
一同
GM「何でもしばらく前、泉に入った人間が次々にペンギンの姿に変わってしまうという物騒な事件が島で起こったそうなのだ」
ルチルチャイ、入ってみたいだろ(笑)
チャイわーい、おもしろそーう。
ロビーナでもそれなら、島の住民みんながペンギンになった訳じゃないんでしょう?
ルチルペンギンになっちゃった人だけが失踪したのね。
GM「中にはもとの知能が残っているペンギンもいて、そいつは平気だったんだが」
ロビーナ知能が残らなかった連中もいて、そいつらが…
GM「消えてしまったのだ」
ルチルさてはきっと、野性に帰ってしまったんだ。



GM「さらにだな、その失踪事件と前後して…泉に入った者がペンギンになってしまう事件が起こるしばらく前に、何でもタイデル方面からお客が来たらしいんだ。ペンギンの研究のためと称していたという」
ロビーナペンギンの研究者がタイデルからその島へ行った?そりゃ、あんたの事じゃないのか(笑)
GM「いや、私ではないぞ。そのよそ者連中が例の泉の辺りをうろついていたというから、どうも怪しいという事で私が調べてみる事になったのだ。で、このタイデルの近くでそいつららしい奴を突き止めたんだが…どうやら護衛を頼んでいるらしくて、ごっつい連中が傍にくっついているんでな。そこでこっちも護衛を雇ってしまおうと思ったのだ」
ロビーナ早い話、それでこうしてやって来たわけだな。
GM「そういう事だ」
ギュゲス話が見えんなー。
ルチル見えないから面白いんじゃないか(笑)
GM「で、島からやって来たペンギンが一匹、私のうちにいるのだ」
ギュゲス確認しとくが…そのペンギンは何をしにやって来たんだ?
GM「手紙を持って来たんだ」
ルチル伝書ペンギン!
ロビーナどんなお手紙?
GM「その手紙に、君たちに説明したような事件のあらましが書いてあったという訳だ」
ギュゲス誰から?
GM「その島…ファーライト島という名前なんだが…そこの、ペンギンにならずに済んだ住民から宛てられたのだ」
ロビーナところでギュゲスは起きてきたの?
ギュゲス起きてきた。で、その島の人間がどの程度残っているのかわかるかい?
GM「だいたい三分の二くらいは残っているらしい」
ギュゲスつまり三分の一がペンギンになってしまった訳だ。
GM「まあ、小さな島だったしな」
ロビーナもともとどのくらいの数の人間がいたのかな?
GM「50人程だな。そういうわけで、ボディガードしてくれる人を募集中なのだ」
ロビーナなるほどね。
ギュゲス値段による。
ルチルしかし、ここまで聞いて引き下がるのもなんだし…
ロビーナこの前チャイが釣ったペンギンも、それに関係ある可能性が強いわけだ。
GM「釣った!?」
ロビーナうん。

…と 言う訳でこの続きは本誌でどうぞ。


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