CatsPanicシリーズ |
vol. 12 双頭の鴉(上巻)
TRA.が発行しているSWORD WORLDリプレイ本、「CatsPanicシリーズ」vol. 12 双頭の鴉(上巻)の冒頭部分です。
時は春。諸々の都合により数カ月のブランクを経たのち、鳥坂の自宅に会し再び待望のTRPGを始めんとする一同。 | |
GM | じゃあ始めるよ。前回のシナリオでは11月の終わり頃だったんだよね?タイデルに戻って来たのは12月半ば頃になるかな。 |
---|---|
チャイ | 猫ちゃん、げんきにしてたかな? |
ルチル | クリスマス目前ですね。 |
GM | フォーセリアにクリスマスはないだろうけど。タイデルに戻ってから何だかんだと遊んでいるうちに大晦日になりました。(無情に)生活費15日分減らしてください。 |
ルイ | お金がなくなるー。 |
GM | ルイは歌で稼いでもいいよ…それでも70ガメル? |
ルチル | 貸してあげようか。 |
ルイ | 借ります、借ります。 |
GM | いや、それならロビーナが100貸すよ。 |
ルチル | 利率0で貸すなんて信じられない(笑) |
アルテア | フォーセリアにも大晦日ってあるのかなあ? |
GM& ルチル | 年末と新年の祭りはどこにだってあるでしょ。 |
GM | 西洋だと大晦日に大騒ぎするのが習慣なんだよね。みんなでやたらとどんちゃん騒ぎをしまして…年も明けて一月一日になりました。 |
チャイ | チャイは、ぱーんと上がってくる初日の出をじゅうじろからながめる。 |
GM | 新王国暦526年の幕明けだー!という事で、皆さんまた飲みまくります。 |
チャイ | チャイはレモネードで酔えるというふしぎな体質なのです。 |
ルイ | 俺、水飲んでます(笑) |
ルチル | ああ、だんだん年増が近づいてくる。 |
アルテア | お肌の曲がり角も近づいてくる。 |
GM | 「正月は冥土の旅の一里塚」てやつね。その日いっぱい騒ぎまくって、次の日になりました。まだ騒いでるかも知れないけど。 |
ルチル | いい加減、もう頭痛が発生し始めてると思うよ。 |
アルテア | アルテアは寝正月です。 |
GM | なかなか優雅だねえ。さて一月二日の朝…「いやーめでたいなあ」と、宿の親父も声をかけて来る。 |
チャイ& ルチル &ルイ | 明けましておめでとうございます。(※実際にプレイしてるのは三月末。すごい違和感) |
ルイ | ところで親父さーん。正月はふるまい酒? |
GM | 「そんな事はない!冒険者の店は、年中無休がキャッチフレーズだ」…つまり一年中金取るってこと。「まあ、それはともかくとしてだな。ここタイデルでは毎年の始めに『年迎えの祭り』てのをやるんだが、それを見に行かないか?」 |
ルチル | この街、年じゅう祭りばっかりやってるような気がするんだけど(↑前近代の社会ってそういうもんだよ。何せ他に娯楽ないし) |
GM | この「年迎えの祭り」ていうのは…あ、タイデルに住んでる人はもちろん知ってるけど…毎年の始めに十字路の広場で行われるお祭りでありまして。五大神殿の最高司祭五人が、新年の幸を願って祈祷をやるお祭りなのであります。 |
チャイ | めでたいです。 |
ルチル | ジャンケン大会でもするのかと思った。 |
GM | 「というわけで、出かけよう」 |
ルイ | 金が落ちてないか見に行こう。 |
チャイ・ロビーナ・アルテア・ルチル・ルイの5人は親父さんと一緒に十字路へ出かけた。 | |
GM | すでに十字路はわさわさと人でいっぱいだ。で、しばらくするとうんたらかんたらと祈祷が始まりました。 |
アルテア | めらっさめらっさ。 |
ルチル | わーい、あやしーい。 |
GM | それぞれの神殿から、一番偉い司祭が一人ずつ来ている。つまりロビーナとルイの究極の上司がいるわけだね。で、その五人の司祭は全員、色違いで同じ形の服を着ているんだ。 |
ルチル | ゴレンジャーだ!(一同爆笑)…いかん、年がばれる。 |
GM | ばれて困るほど年くってないでしょ。服の色は、ファリスが白、マイリーが赤、マーファが緑、ラーダが青、チャ・ザが黄色。 |
ルイ | ピンクは?(笑) |
アルテア | 黒は? |
GM | どっちもない!さて、実はこのお揃いの衣装にはちょっとした因縁話がありまして。 |
ルチル | 誰が何色を着るかでもめた! |
アルテア | 誰がリーダーのレッドになるかでもめた! |
GM | (笑)違う。タイデルは古代王国時代から五大神を等しく信仰してたんだけど、昔はときどき宗教対立なんかもあったりしたわけ。 |
ルチル | オ○ムじゃー!(※これは当時の時事ネタ。マスコミはそれ一色というご時世でした) |
GM | ところが数百年前「やっぱりけんかはよくない、同じ神様同士じゃないか」という事で、タイデルは五大神の調和を宣言しまして。それ以来、新年の祭りと秋祭りを合同で行うことになったわけ。つまり秋の祭りもその時から五日間になったのね。で、同時に調和の印として五色お揃いの法衣が作られたのだ。 |
一同 | なるほど。 |
GM | ちなみにロビーナが前の祭りで着て踊った服…あれも同じように、神殿ごとに色違いになってました。 |
ルチル | あー、あれかあ。(このプレイを始める前、舞装束の設定を作ってメンバーに見せておいたGMであった) |
GM | やがて祈祷も終わりまして、人が三々五々散っていく。 |
ルチル | 今年は豊作かや? |
GM | きっといい事があるでしょう(笑) |
アルテア | ねえ、屋台って出てないかな? |
GM | ないない、そういう祭りじゃないの。ちょっとおごそかな感じだね。 |
チャイ& アルテア | なーんだ、つまんない。 |
GM | (日本人ってやつはこれだから…)さて、ところでルチルは急に「そうだ、ワイバーン料理を食わねば!」と思う。 |
ルチル | …ワ、ワイバーン料理?(一同笑) |
GM | みんな、ワイバーンのセージチェックをしてみて。タラントに行ったことある人はプラス1していいよ。 |
ルチル | グルメの技能はないんだけどなあ。(ダイスを振る)16。1足したら17になっちゃう。 |
チャイ | ワイバーンてなあに? |
GM | 知名度10なんだよね。ルールブック分冊2の67ページを参照してくださいな。 |
ルチル | (ルールブックを見ながら)肉っておいしいの? |
GM | 料理の仕方によってはいちおう食べられるようだ。 |
ルイ | 鳥肉のような味かも知れない。 |
アルテア | えー、尻尾の先に毒があるのか。 |
ルチル | じゃあ尻尾を食べると食当たりを起こしたりして。 |
GM | 尻尾は食べません。ちなみにお隣のタラントでも一匹飼ってます。なんで飼ってるのかは「終わりなき即興曲」を読んでね。で、ここタイデルでは、この年迎えの祭りの後でワイバーン料理を食べるというのが毎年の習わしになっているのです。 |
ルチル | 何て野蛮な連中!(笑) |
GM | 毎年11月に宮廷魔術師とか冒険者を動員して、クロスノー山脈で恒例のワイバーン狩りが行われるんだけど…君たちはその間ベルダインに行っていたわけ。 |
余談ですが、このプレイからかなり後日になって「西部諸国ワールドガイド」が出版された時、タラントでの似たような行事が紹介されていたのにはちょっとびっくり。不思議な偶然の一致です。 | |
ルチル | 見そびれたというか参加しそびれたというか。 |
チャイ | やっぱり右の手のひらがいちばんおいしいのかな? |
アルテア | 熊じゃないって。 |
GM | そういうわけで「さあワイバーン料理を食べに行こう」という話になる。 |
チャイ | あ、たべたい。チャイたべたことない。 |
ルチル | あたしは毎年食べてるかも知れない。 |
GM | うん。街の北の方に、ルチルのお馴染みのお店があるんだ。 |
ルチル | じゃあ「お勧めのおいしいワイバーン料理の店がある」とみんなを誘おう。 |
アルテア | 顔パスでツケがきくかも。 |
GM | 五人みんな来るんだね?一食10ガメルだよ。 |
チャイ | 奥座敷を取ろう(笑) |
GM | ところでルチルは気がつくんだけど、「おかしいじゃないか、去年は5ガメルだったぞ」と思うよ。 |
ルチル | …よし、思った。すごく思うぞ(笑) |
GM | 料理屋の店員さんによると、今年はワイバーンの数が妙に少なくて、品薄のため高価になってるんだそうだ。 |
ルチル | 狩りすぎたんだよ! |
GM | いや、ずっと毎年狩ってたんだけど、こんな事は今までなかったんだよ。今年に限って急に少なくなったわけ。 |
ルチル | 猛暑か旱魃かのどっちかだな(↑米じゃないって) |
GM | ここで、みんな冒険者レベルと知力で振ってみて。14以上の人は? |
一同 | はーい。 |
GM | なら、こういう噂をちょっと聞いた事があるんだ。何でもワイバーンの密猟者がうろついているようで… |
チャイ | あんなものを密猟するひとがいるのか? |
GM | しかもそれがドレックノールのファラリス教団がらみという事で、タイデルの王宮はあんまり大っぴらに取り締まれないようなのだ…という噂が流布している。で、さらに16以上の人。 |
チャイ& ルチル | はーい。 |
GM | 毒薬を密造する材料にしているらしいという、怪しい噂を聞いた事があるぞ。サリンじゃないからね(笑)…まあそんな話をしつつ、皆さんで和気あいあいとワイバーン料理を食べました。 |
GM | 8時頃になりました。とりあえずお腹もいっぱいになったし、帰ろうかという事になります。飲みたい人は残っててもいいけど… |
ルイ | うっ! |
ロビーナ | 飲みたいけど金がない。そうだろ? |
ルイ | ……。 |
ロビーナ | おごるよ。 |
ルイ | わーい。 |
ルチル | 遠慮せずにあたしから借りればいいのに。利率一日100パーセントくらいでOKよ。 |
チャイ | チャイはお冷やをおごってあげよう。なんてチャイってしんせつなんだろう。 |
ルチル | 良かったねえー。 |
GM | ロビーナはルイにエール二杯ほどおごるからね。その代わり彼の愚痴を山ほど聞かされるので覚悟するように。 |
…と 言う訳でこの続きは本誌でどうぞ。 |
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